「武蔵御嶽神社」は、奥多摩の御岳山頂に鎮座します。標高929mの山上からは都心の高層ビル群や房総までも一望します。
御岳山は四季の自然を楽しめ、手軽に散策できる山として人気。そして、古く、霊山として崇敬されてきました。
祭神は櫛真智命ほか7柱の神。創建は古く、崇神期とされます。
この社の狛犬が「狼」でした。
日本武尊に纏わる白い狼の伝説は御岳山の神秘「大口真神」の信仰を生みます。
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御岳山のパワーの根源、大口真神信仰の謎
武蔵御嶽神社は、崇神天皇7年に武渟川別命が東方に派遣された折の祭祀とされます。
奈良期の天平8年(736年)に行基が蔵王権現を勧請、中世以降は金峰山御嶽蔵王権現の名で修験が隆盛を迎えます。
江戸期には御師による講が組織され、御嶽信仰が関東一円に広がりました。
そして、武蔵御嶽神社の狛犬が「狼」である所以とは。
武蔵御嶽神社の境内の最奥、御岳山の最高所に「大口真神社」が鎮座します。ここに祭神の一、日本武尊に纏わる白い狼(大口真神、お犬様)の神霊が祀られます。
伝承では、日本武尊が東征の折、御岳山の邪神による霧のため道に迷います。そこへ白い狼が現れ、尊を導きます。尊は白い狼に神としてこの山に留まり、魔物を退治することを求めます。
魔除、火難除の神、大口真神の由来。古く、関東の民は大口真神の神符を家の守護として息災を祈りました。
この逸話は秩父にも残り、同じく、大口真神の習俗を残しています。
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パワースポットが散在する御岳山の歩き方
JR御岳駅からバスでケーブル滝本駅へ。ケーブルは急勾配を登って御岳山駅へ。
武蔵御嶽神社の参道、土産物店や宿坊が並ぶ通りを抜ければ、大鳥居が立つ隋神門。300段の石段を登り、武蔵御嶽神社の社殿が並ぶ標高929mの御岳山頂へ。
彫刻が美しい朱塗りの「拝殿」と、金彩と黒が重厚な「本殿」が鎮座します。その奥に大口真神社。
山頂直下には「太占斎場」が在ります。ここでは正月に鹿の骨で吉凶を占う神事が行われます。この社の第一の祭神が卜占を司る櫛真知神でした。
そして、宝物殿には、国宝「畠山重忠 赤糸縅大鎧」を始めとする武将たちの鎧、大刀などが展示されて、ここも必見。
また、東に甲籠山と呼ばれる高い峰が聳えます。その頂きの「奥宮」までは徒歩40分の登山。途中に天狗の腰掛け杉、日本武尊の「男具那社」など。
南の谷は修験の行場、水行修行の滝や回峰行の岩場などが連続します。
そして、ケーブル駅の上、富士峰に鎮座する「産安社」が女性にとって最高のパワースポット。木花開耶姫命ほか3柱の女神を祀り、縁結び、子宝、安産の神とされます。
傍に子授け檜、夫婦杉、安産杉の御神木。それぞれの幹や根に触れてご利益をいただきます。人気のスポットです。
武蔵御嶽神社の御守は個性豊か。愛犬の御守も人気
お守り
「お犬様の御神木守」は神殿の材に大口真神の姿を移したもの。災除や厄除にご利益があります。
櫛真知神の太占の神事に纏わる「灼鹿太占守」や「がん封じ」の御守も人気。
お犬様に因み、愛犬を連れた参拝客が増えています。「ペット守」がおすすめ。また、愛犬の「形代」は犬の名を書いて体を撫で、厄を移してお祓いののち焚き上げます。
武蔵御嶽神社アクセス
祭神 櫛真智命ほか7柱
社格 式内社、府社
創建 第10代崇神天皇7年
東京都青梅市御岳山176
0428-78-8500
公式HP:武蔵御嶽神社menu
交通
JR青梅線「御嶽駅」バス10分で「ケーブル下」
御岳登山鉄道「滝本駅」6分で「御岳山駅」徒歩25分
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まとめ
ケーブルが急勾配を登ると標高900mの世界。町屋が並ぶ通りは尾根上、社殿群はピーク上でした。
武蔵御嶽神社の春の例大祭は「日の出祭り」と呼ばれ、かっては暁光の中で行われました。
江戸の街の先、海から昇る朝日の中、神輿の行列が粛々と御旅所まで下り、再び300段の石段を上って山頂まで渡御しました。ここは天空の異境、いちどは訪れたい神秘の域です。